まただ…

先週土曜日、Aさんとお花見に行った。

私が前日から言い続けて、ようやくだった。

夜はお寿司を食べに連れて行ってくれた。



だが、食べてる間にAさんのスマホに着信が入った。

Aさんの娘からだった。

食べ終えて帰る時にAさんが「ちょっとTELしていい?」と言うので、別にダメだという理由もないので私は頷いた。

TELでのAさんは割りと素っ気なく「明日は仕事だから。」と、どうやらまたAさんの実家に泊まりに来てる娘に言っていた。




その後帰り道にAさんが少し娘の話を私に振ってきたが、私は全く興味無いのであからさまに上の空という態度だった。

Aさんもそれ以上は何も言ってこなくなったので、私は暫くすると娘の事を忘れていた。




昨日日曜日もAさんはお休み。

近場だけど、大きな商店街に行く予定だったが、Aさんが全く動こうとしない。

そもそも起き出したのも遅かった。

午後になり、Aさんがおもむろに立ち上がると「そろそろ行くかなぁ…。」と言い出した。

会社に車を取りに行くと聴いていたが、こんなに早く行くとは聴いていなかったので、「もう行くの?」と思わず言った。

Aさんは「うーん…、行くよ。」と言い続けて「夜さぁ、実家でご飯食べて来ていいかな?」と言ってきた。

私は思いもよらない言葉にフリーズして黙ってしまった。

次に思ったのは『何で?』だった。

娘が居るから実家でご飯を食べると決めていたようだ。

私は一気に不快な気分になり、黙り込んだ。

Aさんはそんな私を見て察したのか、申し訳なさそうに「何かあった?」と聴いてきた。

私は答える事が出来ず、顔も強ばり怒りと悲しみが混ざったような複雑な気分になりAさんと目を合わせられなくなった。

「別に…。」ようやく絞り出して答えた。

「10時には帰って来るから。」そう言ってAさんは支度を始めた。




私は何ともいえない気分で布団に潜り込んだ。

眠れるものなら眠ってしまいたかった。

支度を終えたAさんが私を呼んだ。

私は布団から出なかった。

「ねぇ月詠、今度さぁ○○にある✕✕って店に行かない?俺の仕事が落ち着いてからだから、4月になっちゃうけど。」と言ってきた。

恐らく私の様子がおかしくなったのを見て、Aさんなりに気を遣ったのだろう。

私は「うん…。」とだけ言った。




Aさんが出掛けて、私はまた独りになった。

何で休みなのに、どうして独りなの?

しかも夜の10時迄って…。

虚しくなった。

19時になり、私は少し悩んだが飲み始めた。

ヤケ酒だった。




時間はゆっくりと過ぎていき、やがて10時を回った。

Aさんは一向に帰って来る気配が無かった。

私は録画していた特集番組を大音量にして観始めた。

23時を過ぎた。

Aさんはまだ帰って来ない。

徐々に怒りが込み上げてきた。

「嘘つき、嘘つき、嘘つき…。」

気付けば独り言で呟いていた。

そこへAさんが帰って来た。

23時半を軽く過ぎていた。




薄暗い部屋で大音量のテレビがチカチカとしていて、明らか不機嫌な顔をした私。

Aさんは『マズい…。』と思ったのだろう、すかさず私に話し掛けてきた。

私は無視していた。

Aさんの方を見る事すらしなかった。

ただ目の前のテレビを見つめ無表情でいた。



諦めたAさんがお風呂に入った。

私は近くにあったティッシュを床へ叩き付けた。

箱がボロボロになった。

テーブルを蹴飛ばし、お酒をこぼした。

もうどうでも良かった。

ただ、Aさんの娘に対する怒りで一杯だった。

涙で視界が滲む。

何でこんな思いをしなきゃならないのか、頭では分かっていても、気持ちが全くついてこないこの状態をどうしたらいいのか…。





録画番組が終わった。

吐きそうになった。

私はグラスを片付けると、テレビを消して布団に入った。





Aさんが出てきた。

静まり返った部屋に戻ってきて、私が先に寝たのをみると自分のお酒を作りに行った。

次に私が気付いた時はAさんが寝る時だった。

私は構わず背中を向けて眠った。

何度か途中で目を覚ました。

毎回なのだが、Aさんは寝相が悪く私が寝ている方へ何故かきて、私を布団から追い出す。

今朝も例外ではなかった。

明け方、身体が痛くて起きると布団の端っこで落ちそうになりながら寝ていた。

Aさんの方を見ると真ん中で寝ている。

『またか…。』ため息をつき布団から出た。




ソファへ行き、毛布を被った。

暫くするとアラームが鳴り響いた。

Aさんの起きる時間だった。

私は無視して寝ようとしたが、Aさんが止めに来ない。

五月蝿いので止めて眠った。

Aさんを起こす事もしなかった。





Aさんが自力で起きたのは9時過ぎ。

今日も遅刻。

ソファで寝ている私を見ているのに、何にも言わなかった。

起こさなかったから不機嫌なのか、昨日の事があったから不機嫌なのか…。

いずれにしても、また嫌な雰囲気になってしまった。

今夜はAさんは送別会で帰りが遅い。

明日から出張。

どうなるのだろうか?




実家の話も娘の話もいい加減NGだと気付いても良さそうなのに。

そうしたのはAさんだ。

実家にも娘にも、私が居ない存在として扱うから、私も実家や娘は居ない存在だと思うようになった。

もはや不愉快な存在でしかない。






今夜、帰って来るのか。

もしかしたら、飲み会に便乗して帰って来ないかも知れない。

明日も仕事だが、もう知らない。

勝手にすればいい。